塾長ブログ

2016/12/06

血迷っている安倍首相

昨日、安倍首相がハワイを訪問し、退陣が迫るオバマ首相と会談をし、真珠湾にて戦争犠牲者を慰霊するというニュースが飛び込んで来た。

何でも、先頃リマでオバマと会談した時に約束を交わしていたという。

安倍首相は「日米和解と同盟強化の意味を世界に向けて発信したい!!」と真珠湾訪問の目的を述べているが、5月に現職大統領として始めて広島に訪問してくれたオバマに対する、退陣前にしての返礼の意味で行うとの見方も強い。安倍首相は否定しているが、その通りであろう。

返礼の意味で訪問するのであれはばとんでもない愚かな行為だ。なぜなら、真珠湾攻撃は純粋に軍事施設を攻撃した正当な攻撃であったのに対して、広島への原爆投下は、非戦闘員の殺戮を目的にしたホロコーストだったからである。返礼もへったくれもないし、当然のことながら返礼の必要性などない。

真珠本訪問は、ハワイ出身のオバマ大統領への最後の花道を作るという、実に日本人的な返礼行為であるが、何でも反対する旧社会党とは立場は全く違うものの、僕は反対である。

安倍首相の真珠湾でのスピーチは、オバマ大統領同様、謝罪はせず「戦争のない世界平和」を誓う宣言をするとは思う。

がしかし、男塾で真珠湾攻撃にいたった経緯は、米国、およびルーズベルトが日本を戦争に引きずり込み、最初の一発を撃たせる策略であったことを歴史的史実に基づき男塾で書き、それを広げている者として、真珠湾訪問は絶対に得心がいかない。(第216回男塾「日米戦争を仕組んだ米国のオレンジ戦争計画と 日本を戦争に追い込んだルーズベルト大統領の陰謀」前編・後編は配信済)

米国の見方は、日本軍が突如、真珠湾にスニーキーアタックを成し、数多くの犠牲者を出し、その結果、日米戦争が始まったものであり、日本側に開戦の全ての責任があるという史観である。だから、歴代の保守の自民党首相の面々は、今まで一度も真珠湾にのこのこと慰霊に出かけていないのである。それは、そこに、米国の戦争史観と真逆の真実の史観があったからに他ならない。無論、左翼勢力は米国史観であるが・・・・。

本当の開戦責任は、日本を仮想敵国と定め、日米戦争を想定したオレンジ戦争計画を日米開戦の36年も前の1905年に策定し、戦争準備していた米国にこそあるのは明らかだ。日米開戦にいたるまで、対日輸出前面禁止、ABCD包囲網、在日移民法改定と、開戦せざるおえない状況に追い込んでのは米国に他ならない。日本は戦争回避のためにあらゆる手立てを尽くしていたが、ハルノートという最終通牒を米国は日本に手渡した。

それは、東京裁判で、日本無罪の判決を出したあのパル判事に「モナコやルクセンブルグの小国でさえ、ここまで追い詰められたら戦う」と言わしめたほど屈辱的なものであった。日本の嘘っぱちばかり教えている教科書では、こういった事実は一行も書かれていないが、これが中道の見方である。


そもそも、安倍首相の真珠湾訪問構想は、4月米国議会出席に際して、米国側から打診があったが、日本側が拒否して立ち消えたという経緯がある。しかし、ここに来て、数か月前に外交的には終わった案件に対して態度を変えたのは安倍首相の一存だ。それはオバマ大統領との美しい「友情」がその動機となっていることは容易に察しがつく。

日本にとって益は何一つなく、米国にとって利益のある真珠湾訪問には、国益を守るという姿勢以上に、安倍首相の得意とする「パフォーマンス」ではなかろうか。それに、真珠湾で世界平和を願ったところで、中国・北朝鮮・アルカイダへの戦争抑止力に直結することはない。

「日米同盟の強化を内外にアピールする」ということを、真珠湾訪問の大義名分にしているが、オバマの広島訪問でそれは済んだことであり、屋上に屋を重ねる行為でしかない。何も今一度、真珠湾で平和宣言などする正当性などない。

だから、真珠湾などに、日本の首相が行く必要など断じてない。