男塾で配信するまでもないのでブログで緊急コメントする
小池都知事は、豊洲移転問題に決着をつけるために、昨日、今後の方針を示した
それによると、汚染水処理を終わらせ、来年5月に豊洲市場への移転を決定する(まだ一年もかかるので驚きだ)
しかし、築地ブランドを生かすため、オリンピック後の20年9月から改修工事に取り掛かり、その2年後に築地もリニューアルオープンする、とのことだ、つまり築地は今から5年後に再開するという途方もない計画だ
本記者会見は問題点だけ示して解決策を示すことが出来ない、"無能な決められない都知事"或いは"都民ファーストではなく小池ファースト"と、揶揄されていることに対する対処として、「私は決められる」とばかりに突然の発表となった
そして、その発表内容は案の定、築地市場と豊洲市場、それぞれを支持する業者、両方にいい顔をする、いわゆる玉虫色の解決策であった、白でも黒でもないグレーというわけだ
実は僕は前から豊洲問題の決着に対しては、小池さんはそう発表するだろうと睨んでいた
そこには、都民ファーストの会の党首として、都知事選を戦うための戦略も含まれているからだ
まっ敵を減らす政治的手法だ
簡単にいえば両方にいい顔をするということだ
今の段階になっての発表も都議会選のためであり、東京都のためでもなかろう
しかし、この人は経営者ではないということが改めて確証を得ることが出来た
事業を行う場合、いくらの投資でいくらの儲けがあるのか計算をして始める
東京都は金繰りをする必要はないだろうが、予算計画から入るのが常識だ
ところが、築地市場の改修費用も示さなければ、豊洲にかけた6000億円の回収案もない
いわゆる「採算性」に対するコメントはなく、「これから考える」だった
このような事業家は民間企業にはいないし、そのようなずさんな計画はいずれ破綻することだろう
経営は最後ツメにより成功失敗が決まるが、小池さんには時間は十分にあったのにも関わらずツメが出来てない
ツメたのは、都議会選に対する選挙対策というツメだけだ・・・・
更には、築地市場がリニューアルオープンした時、業者が帰って来るか否かは業者の経営判断だといい放った、ということは二度の引っ越しを拒否する業者だらけだと、築地は成り立たないということでもある
でも目の前に迫った都議会選挙に勝てば、五年後のことなどどうでもよいことなのかもしれない
そもそも専門家筋からは近隣に二つの市場が共存することに意味がない、まったくの素人案と一蹴している
経営学的にいっても機能の集中の法則というのはあり、分散することにより利益を最大化できる見込みがないのであれば二か所に市場機能をもたすのは、それは経済原理ではなく、政治原理、選挙対策原理でしかない
一自民党国会議員だった小池さんは、都知事選で勝利し都知事という東京都を率いるトップになることによって、それまで自民党議員大勢の中の一人の時では求められなかった、或いは必要ではなかった「経営マネジメント能力」を求められようになった
トップというのは常に決断を迫られる要職だ
防衛庁長官などの閣僚経験はあっても、彼女はトップは一度も経験したことがない
閣僚の上には総理大臣がいて、最終判断をゆだねることは出来る
ところが都知事というのは、元都知事の石原慎太郎氏も「国会議員より、閣僚より、絶大なる権限、権力がある、よっぽどこちらの方がやりたいことが出来る」と言わしめたほどの、政治家にとっては魅力的な椅子なのだ
だが、日々、剣が峰、プレッシャーに耐えながら決断を毎日しなければならない要職でもある
権限の大きさに応じた大きな責任がある
だからキャリア的にも最終決断力の訓練が出来ていないまま都知事になってしまって、決められない都知事とレッテルを貼られるようになった
そこがボロボロと露呈しているのを国民は見ているということだ
ただし、メディア出身の人なので、マスメディアをコントロールして人気を取る術は心得ている・・・・・
強面のやかましい市場のおっさん達も、小池さんにはメロメロだ
まっ一言でいうと「ピーターの法則」がはたらいていると言える
ピーターの法則とは、昇進は嬉しいことだが、人は出世していくと、どこかのポジションで「無能化する」という組織学の法則だ
課長職で無能化するか、部長職で無能化するか、役員になった段階で無能化するか、社長で無能化するか、それぞれの器で決まる、そして無能化したら最後、どうやってもそれ以上の能力を伸ばすことは出来ない
ピーターの法則の理論では、国会議員は出来ても都知事が出来るとは限らないということである
このように都知事になることにより無能化することもある
それは彼女だけではなく、実は民間企業でも、官僚組織でも、自衛隊組織でも、教育現場でも起きていることだ
今の都政は小池さんという人をトップにすえて、ピーターの法則が働き、そこには混乱が発生しているというわけだ
舛添さんならこの問題自体がなかったことなのだが・・・・
最後に、豊洲地下の汚染水など地上には何の関係もないことを付け加えておきたい
地下など念入りに調査されたら、いくらかは汚染されているものだが、地下の空洞に汚染水があるからといって、食物には関係がないことだ
おやおや、無駄な東北の除染作業同様、また一年間もかけて多額の費用を使って除染をするらしい
この無駄な経費も小池さんがつくり出した都の負債だ
経営が分からない政治家はあわれである
再び、最後にひとこと
人生は何をとり、何かを捨てるように出来ている、両方はとることができなくなっている
皆、どちらかを選択して今を生きている
それが人生の法則だ
なのに彼女の間違いは、強欲にも両方とるという選択をしたことだ
それは絶対に両立しない
だからやる前から失敗が分かる