塾長ブログ

2015/08/19

吹屋の街

お盆に田舎に帰ったあと、女房殿と久しぶりに「吹屋」の街に寄った。

江戸時代に銅山とベンガラで空前の繁栄を謳歌した古民家の街だ。

今は、街並みそのものが県の重要文化財に指定されている。


あと、日本一古い木造小学校が残存していて、これも重要文化財だ。実に風合いがあり、明治初期に建設されたものだ。

も一つ、広兼邸という、銅で儲けた豪商の旧家が見れる。有名なのは横溝正史の「八墓村」の村の主人公の庄屋のロケ地として使用された豪邸である。萩原健一が石段を上がっていくシーンであったり、ラストに炎上するあの豪邸だ。ここは必見だ。

今は銅はもう採掘されない。昔の繁栄を残した街並みが、その時代の活況を物語っている。

ベンガラは備中町吹屋から川上町成羽の街に運ばれ、そこから高瀬舟に積まれ玉島に運搬されて、全国へ販売し、成羽、玉島の繁栄を築いたという、実に資源に富んだ田舎の街が「吹屋」だ。

ベンガラは陶器、漆器、布、壁、瓦、とあらゆるものの顔料となる。

よって吹屋の街は壁、瓦が贅沢にもベンガラで染めたものになっており、街が上品な朱の色に染まっている。

僕はそんなみの街並みが好きだ。以前来た時は、囲炉裏に吊るす鯉の自在鍵を買って帰った。5万円相当の品が6000円ほどだった。何故か売ってているものに魅力がある街だ。

今回は「ベンガラの雨傘」と「い草の草履」と「ベンガラで絞り染めしたTシャツ」を買って帰った。

Tシャツ一枚が5000円したが、手染めの風合いに満足している。ベンガラのあの淡い、朱の色が上品でいい。化学顔料では出せない何ともいえない味がある。

岡山で、一度は行く値打ちのある観光地である。