めったに書評のことは書かない主義だが久しぶりに書きたくなったので書く。
人生=読書=執筆、のような生活をしている。
職業柄難しい専門書を読むことが多いが、息抜きに雑本も読む。
"雑本"とは失礼かもしれないが、目的なく読む本のことだ。
最近、石原裕次郎の復刻版「人生の意味」というタイトルの単行本を買った。
2000年初頭に出版された本に、兄の石原慎太郎と裕次郎の対談とエッセイを追加して新刊本として再出版したものだ。
産経新聞の広告欄に大きく掲載されていたのが目に留まってすかさず注文した。
おもしろい!
石原慎太郎の本はよく読んで来たが、裕次郎の本は初めてだ。
慎太郎の「弟」という本は、兄から見た裕次郎批評だが、この本の一部には弟から見た兄・慎太郎像も書かれており新鮮だ。
ちなみに、裕次郎は一行も書いていない。22本あったテープを文字おこししたものが本になっている。
昭和の銀幕の大スターは、俳優であり歌手であり、そして石原プロの社長でもあった。
また日活、東映、東宝などの五社協定を破壊し、俳優を自由化した映画界の破壊者でもあった。
青春時代の「ケンカ」と「女」の逸話は数知らず、というところもある。
しかし、慎太郎と裕次郎の兄弟はスケールが大きい。
兄・慎太郎が、選挙に出る際にカバンに2億円を詰め込んで「兄貴、つかってくれ!」と差し出す兄弟愛のシーンは、男気を感じ何とも恰好いい。
無論、慎太郎は受け取らなかったが。
逆に石原プロ倒産をささやかれた折に、渡哲也が全財産の180万円差し出すシーンも何ともいい。やはり受け取らなかったが。
太く短く散った人生だったが、それと比較したら最近の俳優、女優は小粒だ。
画一化された教育によって、面白みのない人間を大量生産する今の教育は失敗だ。
一読すすめる。