塾長ブログ

2015/11/20

怪僧ラス「プーチン」




干されていたプーチンの出番がやって来た。

クリミア併合により西側社会より、国際法無視と非難され、経済制裁をされていたロシアにツキがまわってきた。

ロシアの輸出品の稼ぎ頭は石油と天然ガスだ。
天然ガスの買い取りを欧州諸国には拒否され、石油価格は米国がOPECとグルになって、原油価格を引き下げて、ロシアの外貨稼ぎを縮小させる経済制裁をされている。ロシアは孤立し、ロシア経済は疲弊し、金がない。

相手をしてくれていたのは、同じ嫌われ者同士のシリアのアサドと中国の習近平くらいだった。

ところが、パリ同時多発テロにより、国際社会の敵は「イスラム国」や「アルカイダ」なるテロリスト達であり、特にイスラム国の掃討には米国率いる有志連合も、ロシアもシリアも大同団結して、大連合を結成し、一致協力して立ち向かおうという、コンセンサスができつつある。

それは自然発生的に出来たものでもあるが、プーチンがパリ同時多発テロ以前より提唱しているものだ。

敵の敵は味方という、実に古典的な結びつきで、悪役だったアサド大統領のシリアもプーチンのロシアも、この期に乗じて国際社会の仲間になろうとしている。

フランス大統領のオランドも、のこのこ、モスクワまで出向き、プーチンと会談することになっている。
「強面のプーチンさんが、こんな時は頼りなの」とラブコールを送られている。
プーチンは「俺に任しときな、フランスを守ってやるぜ」とこうなる。こんな時は頼もしい。
敵にしたら嫌な奴だが、味方にしたらこんな頼りになる鉄の男はいない。

国際社会から非難されていた、アサド政権延命のための、ロシアによるイスラム国に対する大規模空爆は今や評価が逆転。

あれだけ辛らつに批判していたオバマ大統領も反ロシア政策を軟化。

国際社会にも国際連合にも「地球的正義」は最早ないし、機能していない。あるのは「国益」かどうかという正義の名に値しない正義でしか過ぎない。そんな正義は、事態の変化により今回のように簡単にひっくり返ってしまう、普遍性のない日和見主義的正義とでもいうものだ。

クリミア自信が歓迎しているロシアによるクリミア併合はダメでも、フィリピンもベトナムも、領土を主張している南シナ海岩礁への中国の侵略に対しては、国際社会は弱腰で、見て見ぬふりをする連中で一杯だ。ロシアには一致協力して経済制裁をしても、中国に対しては経済制裁などしない。正義という観点では、それは説明できない。そこにあるのは、金だ。

しかし、プーチンの外交手腕は習近平と比較して、一枚も二枚も上手だ。
強気一本やりで、金に物言わせ札束で頬をはつる外交の習近平と比較したら、実にしたたかである。
黒を一気に白にしていく、オセロゲームがうまい。

習近平と比較すると、どちらが大なるものでどちらが小なるものかは、外交手腕を見ていたらおのずと分かる。

安倍さんと、握手する際に、向こうを向いて、おもむろに不愉快な顔をして握手をするのは国際礼儀作法をあまりにも知らなさすぎる。

まっ、いきまいているチンピラやくざと表面ではニコニコしながら実は影で暗躍する大親分との違いかな。

これからの国際情勢の変転が面白い。